奈良国立博物館 聖地南山城展
奈良国立博物館の特別展示南山城展に行きました。
京都府の南山城の寺院に伝来した文化財なので、本来なら京都国立博物館が主体となるのですが、南山城は地理的にほぼ奈良県で、奈良の影響が強いため、奈良国立博物館の開催でおかしくないと思います。
展示の目玉としては、浄瑠璃寺の九体阿弥陀のうちの2体、同じく浄瑠璃寺の三重塔本尊薬師如来と十二神将、寿宝寺の千手観音、神童寺の白不動です。
寿宝寺の千手観音は本当に手が千本あると言われています。普通は42本に省略されていますが、初めて千本ある手を見ました。
神童寺の白不動は愛嬌のある顔をしています。三井寺の円珍が感得した黄不動に基づいているそうです。
特別展を観たついでに仏像館を観ました。
ここは一部、写真撮影OKで、ありがたいです。
先日拝観した金峯山寺の山門の金剛力士像が展示されていました。山門が修理中のためこちらに移されています。
奈良国博所蔵の国宝・薬師如来が展示されています。この仏像は熊野若王子神社に伝来したものが明治の廃仏毀釈の時に神社から流出したと考えられています。
この仏像、今年の京産大日本文化研究所特別客員研究員の発表会で来歴調査されていました。9世紀後半の作という仏像が、なぜ12世紀に創建された若王子神社に伝わったのか。造りが東寺の講堂立体曼荼羅の諸像と近似していることから、同じ工房で作成された可能性があるとのこと。調査の結果、確証はないですが、状況的に考えて寺院の本尊ではなく貴人の念持仏であった可能性を示唆されていました。墨書きなどがあればわかるんでしょうが、こういうのはなかなか史料が残ってなくて来歴調査は難しいと思いますが、いい発表でした。
2023年8月19日